深呼吸したくなる心地良さ 自然素材にやわらかく包まれて
Living


山形郡北広島町/M様邸
圧巻の小屋組を見上げる吹き抜けのリビングダイニング。LDKの床は柔らかく足ざわりのやさしい無垢杉で、壁は100%自然素材のスペイン漆喰塗りを採用。優れた調質効果によって空気はいつも爽やか
Attic 好奇心を誘い 安全も雰囲気も満たす工夫

吹き抜けになって開放された小屋裏を利用して設けたアトリエ兼ギャラリーへとつながるスロープを造作。「屋根裏の散歩道」のような冒険心を刺激しつつ、築80年の梁組みと違和感のない風合いに仕上げている
Dining & Kitchen

照明の柔らかな灯りが、歴史を刻んだ柱と差鴨居の囲まれたダイニングセットをやさしく包むDK空間。無垢杉を贅沢にあしらったキッチンカウンターの素材感も温もりをプラス

豊かな緑に囲まれた静かな山あいに、しっとりと溶け込みながら泰然とした趣のM様邸。伝統的な和風の建築の佇まいを宿す築約80年の古民家を大規模リフォームした住まいだ。リビングダイニングの天井を吹き抜けにして現しになった圧巻の小屋組みは、大工だったという先祖の見事な仕事ぶりを今に伝える。
1階は、8帖の和室をリビングにしたLDKを生み出した。床は幅18cmの無垢杉を惜しげもなく使い、壁は「0宣言の家」が推奨する100%自然素材のスペイン漆喰を採用した。優れた調湿機能によって生まれた快適な室内空間は、思わず深呼吸したくなる心地良さ。以前は自室で過ごす時間が長かったというご主人も、リフォーム後はリビングで「くつろぐようになった」と笑う。
さらに、リビングに設置したプロジェクタースクリーンではテレビはもちろん、なんとカラオケも楽しめる。外国人が宿泊に訪れることも多いというM様邸。カラオケは宴のコミュニケーションツールにもなっており、暮らしの中の楽しみが広がった。



2F kitchen 素朴で温かいカントリー調の隠れ家に

2階は床や天井にパイン材のフローロングを張り、キッチンをはじめ、バーカウンターやロフトなどを備えた山小屋のような雰囲気に仕上げた

2F Work counter

バーカウンターの向こうには、自然光が注ぐ2階のワークカウンターが連なる。ゆるやかな時の流れに身を委ね、読書を楽しめる

Gallery space

小屋裏に設けた隠れ家スペースはトップライトからの光が優しいアトリエ兼ギャラリー
リフォーム前は納屋だったという2階。隙間があって虫が入ったり、埃が多かったりしたという。雑然とした物置だった空間は、「いずれカフェとしてもくつろげる空間がほしいという思いもあって」と話す息子さんの意向を踏まえ、キッチンやバーカウンターを備えたコミュニティスペースに様変わり。パイン材をふんだんに使い、温かみのあるカントリースタイルの空間はくつろげる雰囲気。加えて、息子さんの趣味という描画は玄人跣(はだし)。そこで、吹き抜けになった小屋裏にアトリエ兼ギャラリーとして使える隠れ家風の個室を造作し、個性的な雰囲気の空間に仕上がっている。
リフォームを終えたお披露目として、1階の田の字型の和室が並んだ空間を使って神楽を奉納したとのこと。それは、大工だったご主人のお父さんが1936年にこの家を建てた際に、お祝いとして神楽を招いたことにう浦井する。当時4歳だったご主人は、「(当時を)思い出したよ」と目を細める。パブリックスペースとプライベートスペースをゆるやかに分けつつ、懐かしくて新しい住空間に生まれ変わったM様邸。新旧の絶妙なバランスも秀逸だ。
用の美が息づく サニタリー空間で健やかに暮らす

美しい四季の彩りを感じられる浴室。ヒノキ材とタイルで造作し、高級旅館のようなしっとりとした和を楽しめる


サニタリースペースにも来客のトイレを設置して便利に

ご主人の自室に近いトイレは引き戸で開口部が広く開閉もラクに
Entrance

白壁や焼き杉、軒裏の垂木、野地板などの風情が豊かな玄関廻り


日本家屋の凛とした佇まいに迎えられる玄関。使い勝手のよい土間と、ガラス張りのギャラリースペースにもなる玄関ホールがシンプルな美しさを感じさせる

Exterior 北広島の山あいにしっとりと佇む 自然な存在感




HOUSE DATA
□延床面積
285.45㎡(86.35坪)
□工期
6カ月
□家族構成
ご主人(80代)+息子さん(50代)
□構造
木造在来軸組パネル工法
□屋根材
瓦
□外装材
漆喰、焼き杉
□床材
無垢杉、無垢ヒノキなど
□内装材
スペイン漆喰


古い家で畳敷ばかりだったのを、小田原ハウジングさんの提案を受け、広いLDKにして無垢材の床を梁張り、壁をスペイン漆喰にしました。便利になった上に、心地良く過ごせて喜んでいます。長く住んでいるので、リフォームした当初は変化への戸惑いも少しはありましたが、今ではすっかり慣れて快適に暮らしています。父がつくって家族が育ったこの家を大切に残したいという願いも叶いました。リフォームして本当によかったです。