小田原ハウジングの建てる0宣言の家は、一に健康、二にメンテナンスフリーに重きを置いています。
自然に近い素材を使えば、そのもの自体のエネルギーが高く長持ちなので、人の身体にやさしいばかりかメンテナンスの低減にもつながるのはあたりまえなのですが、「自分で手入れができる、むしろ、したい」という方にも向いている家だと思います。
例えば外回りに天然木を使ったこのお宅は、「下回りにしか木が無い」のがポイント。

天然木を外部に使う以上避けられない「再塗装」これを、足場なしで、施主様自らががんばったら可能な範囲でできるようにしているのです。
そして年数がたつと避けられない室内の床の傷や汚れ。
たとえばウレタン塗装された合板フローリングだと、こんなふうになってしまうことがあります。ウレタンは紫外線に弱く、窓のそばは特に劣化が早いのです↓

こうなってしまった場合、補修の方法は「はがれている周囲のウレタンをある程度削り落とした後、ウレタンで再塗装」しかありません。しかし、新品の時のようにきれいにはならず、リフォームの場合は結局この上に新たにフローリングをもう一枚貼るというケースがほとんど。なぜなら、合板フローリングの「木目」は、つくりものだからです。


左が0宣言の家で使う無垢のひのき、右が合板にウレタン塗装のフローリング
右のように合板フローリングは、じつは木材を薄く剝いてつくられたベニヤをボンドで張り合わせて木目調プリントシートを貼り、ウレタン塗装を施した、本物の木材とは言い難いものです。
対して左の無垢フローリングは、切り出したままの木材。本物の木です。
大きく違うのは、
合板フローリングは新品の時が一番いい状態で、時間がたてば劣化していくのに対し、
無垢フローリングは今から使う人が育てて良くしていく材料であること。
無垢の木は、磨かれれば磨かれるほど光り、時間が経てば経つほど乾燥して強く(200年間は強度が増し続けるとも言われます)なっていきます。
つまり、無垢の木材は使う人の手入れ次第では何百年も使い続けることができる可能性を秘めているのです。
表面が汚れたら磨いて落とし、植物油や蜜蝋で油分を足してあげてください。と私たちはお伝えするのですが、
そういったお手入れ、実は、本物の木に触れたことのない方には想像しにくいらしいのです。そこで始めたのがこのイベント
小さなお子さんも手作業で木を削ったり、仕上げにワックスを塗ったりして楽しんでくれています。なかには親御さんも驚くほどの集中力や才能を発揮するお子様も。
ほんものの木に触れて、親しみ、自分で手入れする楽しみを少しでも知っていただけると幸いです。やってみると、意外と簡単で、意外と楽しいものなんですよ。
23日15時からもう少しあきがありますので、来れる方ぜひおこしください。
さて、ものづくりつながりでちょっと家と関係ないレースの話です。
私事ながら最近「体型の崩れ」が気になっておりまして、これはもう「重力に負けた脂肪は型にはめておくしかない」と思い、ちょっといい下着を着ております。そうすると不思議なもので、スライムのように型にはまって形状記憶しはじめたので、これは安心してもうちょい太れるな。とか油断が生じているのですが、
そのちょっといい下着に使われているのが「リバーレース」という格式高いレースで、このレース、なんと100年も前につくられたアンティークの機械で織られていたのです。1813年にイギリスのジョンリバーが発明したこの機械は今では生産されておらず、壊れないよう大事に大事にメンテナンスしながら、消耗品の部品は自社で生産しながら、使い続けているとの事。
レースに使われる髪の毛より細い糸を、1台当たり5000個のボビンにセットしなければならないが、なんせ100年前の機械なので人が手作業で1度に200枚のボビンに1本も狂いなく糸をセットし、それをまた手作業でキャリッジに正しくはめなければ機械がレースを正しく編めないのだというのです。
AIが文章を作成して人間がいらなくなるような時代に、まだそんな大変なことを手作業でやってるのか!とびっくりするところではありますが、そう思ってまじまじと製品を見てみると、やっぱりそれを知らなかった時よりも美しく、ああ、確かにこの立体感は安いラッセルレースとはちょっと違うよね。とか思い始め、大切に手洗いして長く着よう。という気になるのです。
家や家具も同じで、それを作った人、携わった人の想いのあるもの、それが使う人に伝わって、大切にされたものだけが後世に残っていけるのだと思います。何でも使い捨てにするんじゃなくて、長く愛せるものを選び、当たり前に大切に手入れして使う。徐々にそういう時代になっていくといいですね。